第二種電気工事士試験を受けてみた

筆記をパスし、実技を1週間後に控えたのでこれまでに気づいたことをメモしとく

(以下の内容は試験合格を保証するものではありません)

 


【受験の動機】
・現在の仕事で、自分のやってみたい業務に必要そうなので(電工申し込みの際のアンケートでも聞かれる内容)
・社内のコモデティおじさんおばさん達を見てきて、ちょっとでもつぶしの利く人材になりたいと思ったので
・資格職は楽しそうなので(バリバリ裏切られそうな期待)
・1種は実技対策が難しそう(実際に器具類を取り付ける造営材をどう用意するか)なのと、受かっても実務経験ないと免許出ないのでまず2種からやってみることにした

 

【これまでの戦績】
クソバカなので実は受験は3度目だったりする
2019:
3日くらい勉強してクソミソにやられて不合格
2020:
勉強に着手したところコロナで前期中止となりやる気が失せ、後期筆記は自己採点54点(ボーダー60点)で不合格
2021:
5月30日に上期筆記受験、自己採点92点
7月3日に筆記合格確認
7月17日に実技受験予定

 

前置きはこの程度で

 

 

【筆記対策のコツ】
①勉強に集中できる環境を作り、自分を追い込む
俺が本格的に筆記対策を始めたのは2020年末頃からだった
弊社社内では、資格取ればお前のやりたい仕事くれてやらんこともないぞと上からも話があったのだが、その責任者が次年度末で引退することとなっていた
つまり俺が2021年内に合格できなければその取り計らいがパーになってしまうため、不退転の覚悟で免状取得に取り組まざるを得なくなった
また俺は趣味に生きる人間で当時はピアノ教室などにも通っていたのだが、ピアノの練習と資格勉強が交互に足を引っ張り合う状況に陥ってたため、ピアノの先生には申し訳なかったが休学を申し出た
もちろん、他の趣味もしばらく距離を置くことにした
もっと言うと、それらの話が出てくる少し前にひとり暮らしも始めた
実家は話し相手もいてなんだかんだ無限に時間を潰せてしまうので、環境を根本的に変えていかないと勉強なんかできやしないと思ったからだった
後述のとおり勉強時間自体はそれほど取れたわけではなかったが、いろいろな誘惑を借家は遠ざけてくれたので集中できたというのは実際かなりあると思う

 

②ダラダラでもいいので期間を長く、できれば毎日勉強する
筆記対策としては、日平均30分〜1時間程度を半年くらいほぼ毎日続けてた(やんなかった日もあったけど)
まとまった勉強時間が取れないのならスタートを早めればいいわけで、全体の累積勉強時間を積み上げてくイメージでやる
また勉強の間が開くのは絶対ダメ、次の勉強までの間が延びれば延びるほど知識が定着しなくなり内容を忘れる
例えば、日曜日だけ7時間猛勉強して後遊ぶようなスタイルよりも、1週間毎日1時間やったほうが同じ7時間でも圧倒的に内容を覚えられる

 

③反復する
参考書の練習問題はそんなに出題数が多くなかったこともあり、多分トータルで20周くらいはしたと思う
それもただ周回するのではなく、次に勉強するときは前回の勉強内容を復習もした
例えるとこんな感じ
1日目:問題1、2、3を解く
2日目:問題2、3、4を解く
3日目:問題1、4、5を解く
4日目:問題2、5、6を解く
ぶっちゃけ順番は適当でいいんだけど、とにかく問題は1発やってやり捨てにしないこと
日を開けて何回か解いてみて定着させる

 

④参考書の冊数は1冊に絞り、必要になったその都度買い足す
これは書いてある内容は基本的にどれも同じでいろいろ買うことに大した意味がないのと、金を費やしたイージーな達成感が実際の勉強の達成感とすり替えられて、勉強自体をやらなくなってしまうのを防ぐため
また問題だけならアプリ使ったり、解説付きで実教出版のHPとかで公開してるのでそれも活用する
俺が使ったのは以下で、マジでこれ以外のテキスト類は一切使わなかった

テキストの内容は法改正とかがない限りどの年度でも内容は大して変わらない
だから中古のこういうのでOK
押さえられていない範囲があったとしてもネットで検索すればすぐ解るし

 

play.google.com過去問アプリはこれ
マジで昨今の試験対策にアプリを使わない手はない
隙間時間で開いたりして、試験直前までにコンスタントに8〜9割取れるようにした

 

www.jikkyo.co.jp過去問集はもちろんテキストを買うのがベターだが、ただ解くだけなら実教出版のHPがかなり役立つ
解説も一通りついてる(中には解説がない問題もあるがおそらく書くまでもないという意味だろうし、大体はネットとかでちょっと調べれば解る)

 

⑤重点対策する部分を見極める
何よりもまず、単線図を複線図に書き換える問題は絶対にマスターしないとけない
これは後の実技で必ず要る知識なので、ここをやらずに運良く筆記がパスしたとしても結線間違いで一発アウトになるリスクが凄く高くなるというか、そもそも取りかかれずに終わるんじゃないだろうか
計算問題は電気理論的なものと施工的なものの2通りあるがどちらもウエイトがでかいので重点的に覚える必要あり
施工回りの知識(電線の許容電流、ブレーカーの距離、工種毎の接地抵抗や絶縁抵抗などなど)も次いでウエイトが大きいのでやっておくこと
ただ施工方法は慣れればフィーリングで解けるのもあったりする(樹脂管は大体どこでも施工できたりとか湿ったとこには必ず遮断機を設けるとか)
機具類の鑑別や図記号はただ覚えるだけなので問題を繰り返し解くうちにある程度は身についてるはず
逆に時間がないときに捨ててもよさそうなのは直流回路と法規だが、直流回路は1問しか出ないうえオーム則の応用で解けるし、法規は範囲が狭いので(<PS>E表示と免状書き換えの条件あたりについて覚えとけばよい)とりあえず拾っとくといいかも
ただ実際に変にヤマかけて滑っても俺は知らないけど


そんなこんなで筆記は合格
勉強習慣を自分の意志力だけで身に着けるのは難しいので、方法や環境はちょっと工夫すると能率があがりやすい
後何よりも、実際に手を動かして問題を解かないと絶対覚えられません

 

 

 

【実技対策のコツ】
①道具と材料とテキストを揃える
実技はじつは、受験代とは別にまず練習に取りかかるまでに数万円の費用がかかる
(だから工業高校の生徒さんとかは電工は在学中に取っとかないと損だよ!学校というタダで練習できる環境を最大に使ってやろう)
俺はツテを総動員してほとんどのものを揃えたが、そういうのがアテにできない場合にまず買わなきゃいけないのが以下

まず工具セット
俺も宝山のセットはバリバリ使っている

 

次に電材
私見だがまずこの1回セットを買って、後は消耗品的な電材がなくなりそうになったら都度買い足すのがいいと思う

 

そしてテキスト
これは2020年度版の実技テキストだが、2021年度の候補問題(電気技術者試験センターのHPで確認できる)と全く同じものが書いてあった
実技こそ反復練習で自分の腕を磨くのが重要なので、余計なテキストに浮気しないようにしよう

 

後、消耗品として以下のものが必要になってくる

VVFの1.6mm×2芯
これが一番基本になる電線

 

同3芯
渡り線とかのIV電線はここから切り出して用意すればよい

 

電源用の2.0mm×2芯
これはそこまで買い足す機会はないかな
ちなみにこれらVVFにはエコ電線というのもあるが、外も中も皮がめっちゃ固くて剥きづらいのでそっちは買わなくていい(追記:エコ電線は試験にも出てこなかった)
ただ機会があればその剥きづらさを味わっとくのもいいかもね
外皮と芯線被服との間にベビーパウダーみたいなのが塗ってあってストリッパで剥くと芯線が滑って抜けちゃったりするんだよね

 

E型リングスリーブ
実技では小・中が出るが、練習を繰り返すと特に小は箱(1箱100個入)単位で使う
ちなみに接続コネクタ(ワゴー)は使い回せるのでセットのがあれば買い足さなくても問題なし

 

連用枠(金属製)
一見消耗しそうにないパーツだが、実は器具の付け外しを繰り返すと固定の爪が非常によく折れる
40回近く例題を作って俺は5枚壊した

 

このへんは慣れれば必要ないが、スリーブ圧着時のIV電線の保持は地味に面倒(2mm線が絡むと特に)なのであると便利かも
というかチェッカーなんて持って行ってもよかったのかよ……まああれば確実だよね
ただ全部組み終わった後にチェッカーで結線間違いが見つかったとして、電線なんかも消費しちゃってるし手直しはかなり難しいと思う
最初から間違えずにやること

 

 

②時間をかけて基礎から練習し、いきなり例題を再現しない
もちろん最終的には例題13題をどれでもつくれるようにしなきゃならないが、まずは電線の剥き方とかねじ留め部の輪っかの作り方とかを確実に身に着けること
でないと例題をただこなすだけで、実力の伴わない意味のない達成感にごまかされやすい
また、最近はワイヤストリッパでVVF電線の被覆を簡単に剥けるが、だから電工ナイフで剥く練習をやらなくていいわけでもない(丸形のVVR電線にストリッパは使えないほか、電工ナイフを使えると役に立つ部分はある)
習得までの目安としてはおおよそ3ヶ月は必要かも
最初の1ヶ月で基礎をおさえて、残りの2ヶ月で例題の作成を行う
1日1作例を作っていったとしても、2ヶ月あれば4周できる(とはいえ3周目が終わる頃にはそれなりの実力がついてきてるはず)
慣れていったら(2周目以降)、欠陥を作らないようにしつつ制限時間40分を意識した作成を行っていく

 

③適度に休む
実技対策は一回一回の時間はかからないようでありながら、材料の準備や完成後再利用のための分解をしたり、また集中力を切らさないようにしたりするので想像以上に負荷のある練習をすることになる
もちろん毎日反復練習するのが好ましいが、どうしても心が渇いたらその時は素直に休もう

 


この練習方法が正しかったか否かは、1週間後の試験で明らかになる
気合入れていきます

 

 

 

 

2年越しの夢が叶うといいですね

 

 

 

 

 

 

【追記】

実技試験を受験した(R3.7.17)

出題はこれのNo.6

https://www.shiken.or.jp/candidate/pdf/K_R03K.pdf

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※電気技術者試験センターHP「令和3年度第二種電気工事士技能試験候補問題の公表について」より抜粋

これは真ん中の3芯VVF越しに3路をふたつつなぐので線の色がごちゃるのが厄介なやつ
でも露出型コンセントはねじの頭がデカいのでねじ留め部の輪作りがちょっとタコでもうまく隠せるやつでもある、ある意味ボーナス問題かもね

 

 

例題作成はなんだかんだ50回くらいやったのでああこれね、という感じで
直前に参考書読んでる人たちを尻目に(今頃読んでも遅いんじゃないかな……)などと余裕ぶっこいたりしてた

だが本番の魔物というのはやはりいて
結線時にコンセントと間違えてシーリングつけちゃってちょい慌てて直した
同じミスは練習の時にやってたので大慌てはしなかったけどね

作成時間は25分くらいだった
周りは意外とまだ手を動かしてる人が多くて、もしかしたらこれでも早い部類なのかなとなった

その後は結線ミスと欠陥のチェックをして、特に問題ないことを確認して終了時刻となった

 

それ以外に気づいたのは以下

・結線部(ワゴー・スリーブ問わず)のIV露出は100mmが基本で、皆露出長を俺の3倍くらい長く取ってたのでおかしいなと思い攻略本を確認して発覚した
スリーブ部の露出長20mm以上は間違いなく取ったし、ワゴーはそもそもテープ巻きが不要で長さの下限が(攻略本を見る限り)ないので問題はないはずだが、もし落ちることがあればこれが原因かもしれない

・元業界関係者が言うにはVVFとかの長さはあまり関係ないらしいが、指定の50%を切ると欠陥なのでそこは絶対守って作った
とはいえ元々短めに作るクセが抜けず、どこも7割くらいの長さになってしまった
おかげでVVFは20cm以上余った

・もっと言うと、結線部のIVは垂直に立てるのが基本らしい
俺はタコの足みたく水平に開いちゃったがまあ関係はないと思う

・下限20mmのところIVの露出長を100mmも取るのは、結線間違い時のリカバーをやりやすくするためだと思われる
VVFを新たに切り出すより間違ったとこ切断して新たに結線するほうが絶対早いもん

電動工具以外のあらゆる工具持って行っていいので会場にはいろんな工具もってる人がいた
IV結線の固定用のクリップやセロテープと、ねじ置き用のマグネットトレーはちょっと便利そうだった

・テスタの持ち込みは普通にダメだった

・早く作れても、IV露出長のことがすっぽ抜けてた俺みたく間違った巧さを身に着けるのなんか意味がない
練習続きで空しく感じることがあったが、それは重大なポイントを見落としてるサインなのかもしれない
そういうときは練習を一旦置いて、参考書をイチから詳細に見ていくこと
とにかく参考書の内容をまるごと再現するつもりでやること

 

 

 

 

 

【追記2】

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(一財)電気技術者試験センターHPより

合格しました(R3.8.20)